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2007年5月26日 (土)

邂逅~フライフィッシング~ その8

次第にフライで魚がよく釣れるようになり、ルアーはあまりやらなくなった。なかでもドライフライの釣りはやっぱりおもしろかった。管理釣り場の流れの中に定位している巨大なニジマスをサイトフィッシングで釣るのが好きだった。魚の上流にフライをキャストすると、ゆっくりす~っと魚が浮上してフライをくわえる。スローモーションのようなあの瞬間がたまらなかった。管理釣り場で場数を踏み、少しずつ自然の川でもフライで釣るようになった。

 あるダム湖にそそぐ小さな川でドライフライに熱中した。この川ではイワナが遊んでくれた。故郷の川のイワナとはちょっと雰囲気が違うイワナたちとの遭遇が楽しくて仕方なかった。バイト代でホワイティングのブラウンサドルハックルを買った。初めてのハックルケープ。いくらしたんだろうか…。正確な値段は覚えていないが、震える手で財布から紙幣を抜きだしたのを覚えている。大学生が十数日食べていけるには十分な金額だったと思う。このハックルでドライを巻いた。パラシュートタイプが好きでたくさん巻いた。テールも茶色、ボディーはハーズイヤー、カーフテールのポストを立てて、大事なハックルをこれでもかってくらい厚く巻き、ちょっとやそっとじゃ沈まないフライだった。こんな中、すごく釣れるフライが生まれた。黄色のディアヘアーでエクスタンドボディーをつくって、ポストにカーフテールを立て、そして茶色のハックルをパラシュートタイプに巻く。釣れた。これさえあれば、釣れた。カゲロウに見えたのか、それともエクスタンドボディーが毛虫にでも見えたのか、魚に聞いてみないとわからないが、本当によく釣れた。この川にはよく通い、たくさんのイワナに逢った。お気に入りのフライをキャストする。イワナが何の疑いもなくライズする。リリースするときイワナと目が合う。「なんだ…またあんたかい」イワナは笑って水に帰っていく。

この頃からだろうか。釣りは自分をあるがままの自分に戻してくれる、そんな遊びであることを感じ始めた。まあ、大学生といっても講義に、論文に、バイトにつき合いに、将来への不安に、今ほどではないけれど、考えることが色々あって、悶々とすることが結構あった。こんなとき自然と川に足が向いた。心を癒し、自分をリセットしてくれる川があり、イワナがいた。故郷を離れた4年間。でも、心にいつも故郷の川は流れていた。

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