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2010年12月 1日 (水)

20years ago ~拝啓20年前の僕へ~

  ここに一本の古ぼけたフライがある。

P1120936

 実はこれ、20年前の僕が巻いたみたいなんです。
 「みたい」なんて言うのは、自分が巻いた記憶がまったくないからなんです。

 20年前のフライがなぜ出てきたのか…まずは、ここから書いていこうと思います。

 先日、母校の小学校が100周年を迎えました。100周年記念の式典や祝賀会が開催されたので行ってきました。恩師や旧友と会えるという楽しみもありましたが、もう一つ楽しみなことがあったんです。

 そのもう一つの楽しみとは…。

 僕が在学中、母校は80周年を迎えました。その時に全校で思い出の品や作文などをタイムカプセルに入れて校庭に埋めました。
 

 そのタイムカプセルは100周年の時に開けることになっていたのです。

 そしてついにその時が来たという訳なんですね。
 
 タイムカプセルの中に何を入れたのかまったく覚えていなくて…

 「何をいれたっけなぁ~」
 
 って、ちょっとわくわくしていたわけです。

 そして、僕が入れていたものはこれでした。

P1120921

 古ぼけた小さな封筒。

P1120923

 「これは、ぼくがはじめて毛バリで魚を釣った時の毛バリです」
 

 と書いてありました。

 そ~っと中をあけると、このフライが出てきたんです。

 ドライともウェットとも違う、何がなんだかわからないフライ。
 どうやってタイイングしたかも定かでありません。
 おそらくロイヤルコーチマンの真似をしたんだろうな。
 
 当時、すでに釣りにはまっていました。のべ竿に餌のミミズをつけて釣っていました。

 釣りを教えてくれたのは伯父。
 親父は釣りをしなかったけれど、一緒に釣っているうちに、釣りをするようになりました。
 

 このころ、親父と僕には通い積めていた秘密のポイントがありました。大きな木が川をせき止めて、深い淵を作っていました。この場所にはたくさんの魚がいました。

 こんな幼少時代を過ごしたものだから必然的にルアーやフライに興味も出てくるわけです。

【これまで歩んできたキチガイへの道程は“クレージーフライフィッシャーへの道”にまとめてあります。】

 特にフライという釣り方があることを知って衝撃を受けたことは今でも鮮明に覚えています。
 

 そんな衝撃があったから、自分でフライを作ってみようという気持ちになったのかもしれません。
 

 もちろんバイスなどありませんから、自分で作りました。ラジオペンチに針を挟んで、とってをゴムかひもでぐるぐる巻きにして固定。今度は自分の左側に「週間少年ジャンプ」を積み上げて、その間にフックを固定したラジオペンチをはさんでバイスにしたはず。
 
 出てきたフライを見てみると、テールのピンクは何を使ったのかなぞ。
 ピーコックはおそらく小遣いで買える値段だったと思うので買ってきた覚えがおぼろげにある。
 ボディーの赤はシルクで巻くけどそんなものは絶対にもっていない。さてこれははなんだろう。これもなぞ。
 ウィングはそこらへんで拾ってきたカラスの羽かな。
 ハックルは、仏壇にあった毛ばたきから拝借してきたと思われる。

 ロイヤルコーチマンにしたかったのか、ブラックコーチマンにしたかったのか、これもまったくのなぞ。

 でも、たしかにこのフライで魚を釣ったんだなぁ。そんな記憶はちょっとある。

 のべ竿にナイロンラインで編んだお手製のテーパーラインをとりつけて、テンカラのようにしたはず。

 20年前、このフライで釣ったときの喜びは相当なものだったんだろうな。このときからすでにクレージーへの道は始まっていたんだね。

 一緒にでてきた作文の最後に、こんなことが記してありました。

P1120953
 「今年の最高大きいのは33センチメートルとあまり大型はつれなかったです。それとヤマメの20センチがつれた時はうれしかったです。今でも魚たくにとってあります。」

 当時、よほど釣りが楽しかったんだろうな。釣りの文章を書いている文字は興奮が入り交じったような字でした。

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 <拝啓20年前の僕へ>


 20年って長いようであっという間だったよ。
 僕は今、結婚して妻とウサギのゆぱと3人で暮らしていて、とても幸せ。
 仕事も君が夢見ていた職に就くことができたよ。いろいろ苦労はあるけれど、同僚にも恵まれて、自分なりにやってるよ。
 そして、君が大好きだった釣りは今も続いてる。自他共に認めるキチガイになった。
 釣りを通してね、いろんな人とつながることができたんだ。これが今の最高の財産。とてもすばらしい釣り人と釣りを楽しんでいるよ。
 そうそう。今年はね、96センチのイトウに会うことができた。
 君が初めてフライで釣った毛バリを復刻してみたよ。君のフライと一緒に箱に入れて飾っておこうと思う。
 これは、今の僕の宝物。一生大切にするからね。

P1120927 【復刻版 ブラックロイヤルコーチマンスペイ風~Ver. 20years ago~】

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 20年。
 あっという間だった。旧友も別々の道を歩いているけれど、元気だった。昔話に花が咲いた。

 同じ道を歩いてきた旧友同士にしか、わからない想いがある。

 恩師にも会えた。

 地域・近所のお世話になったおじさん、おばさんにも会えた。みんなそれぞれ年をとっていてちょっとびっくりしたけれど。

 やっぱり心のどこかにいつも故郷の風景がある。
 

 友と過ごした時間が思い出となって心に刻まれている。
 

 お世話になった人たちがいる。

 決して自分一人でここまできたんじゃない。両親、親戚、故郷のみなさんに感謝したい。

 そして、僕を釣り人として育ててくれた故郷の川。いつも心の中で清らかに流れています。

 新しいコミュニティーもできてきた。でも、古くからのコミュニティーも大切にしなきゃ。感謝の気持ちを忘れないようにしよう。
 
 そして、もっともっと自分に磨きをかけよう。もっともっとクレージーになろう。
 
 これが、僕の生きる道。自身もって胸張って力強く一歩を踏み出していこうと思う。

 故郷の川が変わらずに流れ続けるように、僕も僕らしく生きていこう。

 ノスタルジックでセピア色の思い出が僕に勇気と元気をくれました。

P1120961

 River Runs Through It
    ~故郷の川はいつも心の中に流れ続ける~

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コメント

はじめまして!
twitterから飛んできました。
とても素敵な話ですね。
寒い夜に心が温かくなりました♪
とても小学生が巻いたフライには見えません。

僕も小学校の頃、未来の自分への手紙を
タイムカプセルに入れたのですが、
どうなったのかなぁ(笑)

投稿: | 2010年12月 1日 (水) 22時04分

いやはや・・・マジで感動・・・
とてもいい小説に出会った時のような気持ちになれました。

投稿: Hiro | 2010年12月 1日 (水) 22時43分

いつもツイッターとブログを拝見しています。小生は50を過ぎてからフライの楽しみを覚えました。やっと丸10年になります。このブログを読ませていただき胸にキュンときました。ドライばかりでまだ、ウェットには挑戦できていませんが、来年から貴兄のブログを参考にやってみようと思います。これからもすばらしいブログを楽しみにしています。

投稿: Gosuke | 2010年12月 2日 (木) 01時01分

不思議な偶然ですが、ボクが生まれて初めて巻いたフライが「ロイヤルコーチマン風」でしたよ。
間もなく丸23年が過ぎようとしています。

このエントリーを読んで、ボクも色々と思い返すことができました。
ありがとうございます。

投稿: kuni | 2010年12月 2日 (木) 12時28分

クラブウォーターの幽霊会員です、初めてコメントします。ちょっと感動して鳥肌が立ちました、何故かコメントせずにいられなくて・・・。

投稿: タチチャン | 2010年12月 2日 (木) 20時06分

こんにちわ
いい~話ですね。
僕の20年前といえば、ちょうどフライフィッシングと出会ったばかりの頃かなぁ。
フライフィッシングのすべてに夢中だったなぁ。
もちろん今でも夢中だけどね。
既にテンカラをやっていたから毛ばりは巻いていたけれど、
ハックルは仏壇の毛ばたきから頂くというのは共通項みたいですね。

投稿: イシシ | 2010年12月 3日 (金) 12時00分

こんばんは。
はじめまして。と言うよりは、実は短パンルアーマンです。
初夏に初めて会ったときに私が短パンで釣りをしていたから分かりやすいかなと思ってこの名前を使っていましたがどうもしっくりこなくて改名しました。
今日から三流剣士で再びよろしくお願いします。

さて、話は本題にうつります。
20年前の話とてもいい話でした。
この話を聞いて、私も釣りを始めた時のことを思い出しました。私が釣りを始めたのは16年前。
懐かしいことを思い出せたことを感謝しております。
また良い話聞かせてくださいね。

投稿: 三流剣士 | 2010年12月 4日 (土) 01時16分

良き思い出が残されていて、良かったですね

私も最初の毛バリを思い出してしまいました
28年前の事ですが、思い出そうとしたら意外と出て来たので、びっくりでした。

良いきっかけを頂きました
私も巻いてみょうかな(゚▽゚*)

投稿: ゆうぴょ | 2010年12月 4日 (土) 12時42分

洋さん
 こんばんは。twitterからお越しいただきありがとうございます。また、釣り人の輪が広がり嬉しいです。
 小学生の頃は何が何だかわからずフライを巻いていました。今となってはいい思い出ですが…。
 タイムカプセルっていいものですね。20年前にタイムスリップできるような気がします。ぜひ、掘り出してみてください!

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 16時46分

Hiroさん
 こんばんは。
 小説だなんてとんでもないですよ。ただただ戯れ言を書いているだけなんです。
 いつもお付き合いいただき、ありがとうございます。

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 16時47分

Gosukeさん
 こんばんは。はじめまして。いつも足を運んでいただいているようで嬉しい限りです。今後ともよろしくお願いします。
 ウェットフライ是非トライしてみてください。きっとフライフィッシングがますます面白くなり、釣りの幅が広がっていくと思います。
 私のブログが誰かのお役に立っているのであれば、こんな嬉しいことはありません。
 戯れ言ばかり、たいしたフライも掲載しないブログですが、遊びに来ていただき、コメントなどいただければ幸いです。

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 16時51分

kuniさん
 こんばんは。
 kuniさんとは何かとご縁があるようですね!
 ロイヤルコーチマンはやっぱり人も魚もひきつける魅力があるんだと思います。
 今度、ロイヤルコーチマンの話題で盛り上がりたいですね!近々、連絡させていただきます。よろしくお願いします。

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 16時53分

タチチャンさん
 こんばんは。
 クラブの運営がここのところ滞っており申し訳ありません。本業がばたばたとしておりまして…。
 いつでも、お気軽にコメントいただけるとこちらとしても嬉しいので、今後ともよろしくお願いします。

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 16時54分

イシシさん
 こんばんは。
 やっぱり最初のハックル供給場所はホワイティングではなく仏壇なんですね(笑)!これは、フライフィッシャーとして誰しもが経験することなのかもしれませんね。きっとご先祖様は何やってるんだ?って思っているかも(笑)
 いやいや、20年前はここまでキチガイになっているとは思ってもいませんでしたが、今の人生があるのもフライのおかげ、キチガイになったおかげだと思っています。20年前の僕に「釣りを好きになってくれてありがとう」と言いたいです。
 

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 16時57分

三流剣士さん
 こんばんは。
 釣りを始めた頃の思い出って、すごく鮮明に覚えていませんか?初めて釣った魚、ポイント、手応え…。やっぱり最初の一匹のインパクトって大きいんですよね。しかも、その一匹によって絶対に戻ることのできない道へとばく進していくわけですから!
 今度、昔話でもしてみたいですね。

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 16時59分

ゆうぴょさん
 こんばんは。
 私も初めて魚を釣ったウェットフライは今でもお守りのようにホイットレーの片隅にいらっしゃいます。
 思い出フライの復刻版を巻くというのもいいかもしれませんね!

投稿: 管理者 | 2010年12月 8日 (水) 17時03分

通りすがりの釧路出身インチキ北見人です。
とても良いお話で心暖まりました。
足跡とコメント残していきます。

投稿: おみちゃん | 2010年12月27日 (月) 01時14分

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