理科教育

2007年2月11日 (日)

感性とイメージ

 久しぶりに理科教育の更新。いままで、仕事さぼっててたわけじゃありませんよ。

 先日、水の電気分解実験をしたとき、生徒の発言がおもしろくて、そしてうれしかった。

 水を電気分解すると、+極からは酸素が、-極からは水素が発生します。そのとき、水素の方が酸素より2倍多く発生します。電極からわき上がる気体をみて、ある生徒が言いました。「この、装置は直列回路だよね。だから、どこでも流れる電流の量は同じはずなのに、なんで-極の方がたくさん泡がでてくるんだ?」この生徒は、電流の量が多い方がたくさん気体がでると考えてのことでした。この発想には驚きました。

 生徒が直感的に感じるこんな発想や疑問を大切にしていきたいとあらためて感じました。こんな疑問から科学する芽が育っていくのだろうなと考えました。

 空気中には目では見えないけれど分子がたくさん飛んでいるという、原子・分子の話をした。すると、生徒の何名かが向かいの友達に向かって手をひらひらさせながら何かをしている。何してるんだとよ~く見ていると、どうやら向かいの友達にむかって見えない分子をとばしてコウゲキをしているらしい。思わずほくそ笑んでしまった。確実に目では見えない分子の世界をイメージしてくれたそんな気がした、うれしい瞬間だった。

 こんなヨロコビを感じたときや生徒から教えられるひらめきや考えかた。こんな瞬間はやっぱり理科を教えていてよかったなぁと思うときですね。

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2006年12月19日 (火)

金星みため君

 3年生の天文分野も終わりに近づいてきました。最後の難関(?)として「金星の見え方」の学習があります。

 金星の満ち欠け、なかなかイメージしにくい…。少なくとも自分はイメージしにくかった…。太陽の周りに金星がぐるっと書いてあって、地球が近くにぽつんと1つたたずんでいる図…。少しでも生徒のイメージ化を助けてあげられないかなあ。

Img_4050  こんなものを作りました。その名も「金星みため君」。赤いのは「太陽」、黄色いのは「金星」、青いのは「地球」です。太陽と地球は固定してあって、金星は太陽の周りをグルグル公転できるようになっています。

 地球の下の方にある四角い箱みたいなのは、デジカメを置く場所です。Img_4048

 これを、黒板に引っかけます。横には、あのイメージしにくい図が…。金星をくるくる公転させて、地球の位置に置いた、デジカメで金星の見え方を撮影して、テレビに映します。

 金星を観察した場所に自由に移動させて、地球からの見え方を確認できるようになりました。Img_4047

 こんな風に金星が見えます。

 生徒のイメージ化を助ける手助けになるような教材を作るのは楽しいもんです。授業がスムーズに進し。でも、楽しいね、すごいねで終わってしまっては意味がない。なぜ、こう見えるのか、確かな知識を身につけさせて、一番星を見つけたとき、ちょっとでも宇宙の神秘を感じてくれたら、と思っています。

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2006年12月14日 (木)

続 プレートテクトニクス・プルームテクトニクス

 先日、1年生理科でプレートテクトニクスとプルームテクトニクスについて実践してみました。火山活動や地震の学習を進めていく上でこの理論をかみくだいて生徒に教えることは意義があることだと考えています。、なぜ、火山が地震が起こるのかその原因をしっかり考えた上で学習を進めた方が効率的だと思います。

 生徒の反応は良好でした。「なぜ、地球の内部のことまでわかるの」といった素朴な疑問がたくさん出てきました。日本がマントルまでボーリング調査をしていることにふれると、「ほんとにそこまで深くほれるの?」とか「掘った後の穴はどうなるの?」などなどこちらも答えるのに大変なくらい興味をもってくれました。

 実際に観て確かめることができない世界をどうやって説明していくのか。地震波トモグラフィーなどでしか調べられない世界。現在は正しいと考えられている理論が明日は間違った理論になってしまうかもしれない、そんなおもしろさ。やっぱりね、目に見えない世界をみんなが納得できるように説明するおもしろさ、大変さ、これが科学のおもしろさなんだなと生徒からあらためて実感させられました。

 こんな科学のおもしろさを実感させてあげたい。そんな理科の授業をめざしていこうと思います。

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2006年11月27日 (月)

さよなら、そしてありがとう冥王星企画③ 太陽系のひろがりを実感する

 10億分の1太陽系モデルでそれぞれの大きさを実感したところで、こんどは、10億分の1の太陽(直径1.5m)を理科室に置くと、それぞれの惑星がどれくらい理科室から離れたところにあるのかコンパスを使って10億分の1の公転軌道を身近な地図上に作図させてみた。そしたらどうだ、米粒みたいな冥王星の公転半径は隣の市まで広がった。これで、太陽系はひろいなあって実感が広がったようだ。

「天動説」と「地動説」みたいに、これまで、常識だった科学の概念が、明日大きく変わることがあり得る。こんな機会に巡り会えたことがまず、うれしい。そして、これを教材にして、生徒一緒に感動を味わえたこと、今の常識は正しいと決めつけて考えず、いろんな方向からさらに考えを進めていくことの大切さを今回身をもって学びました。冥王星ありがとう。そして、さようなら…だけど、冥王星自体がなくなったわけじゃない。こんなすばらしい話題・考えるきっかけを与えてくれた冥王星。惑星じゃなくなったけど、太陽系のなかまとして変わりはありません。これからも、我々の母なる地球と同じように、太陽の周りを一緒に回りましょうね!

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さよなら、そしてありがとう冥王星企画② 太陽系モデル

私たちは太陽系第3惑星地球の住人。でも、私たちの母なる地球は他の惑星と比べるとどれくらいの大きさ?太陽より小さいのは何となくわかる。でも、お隣の火星や金星と比べたら…?それから、太陽系の広がりって一体どれくらい?う~ん、やっぱりいまいちピンとこない。

Img_3817

それで、太陽系の10億分の1のモデルを作ってみた。(写真 左から水・金・地・火・木・土・天・海・冥 大きさを比べてみるとちょっとびっくり)理科室にころがっているいろんなモノを利用して、あとは、私のほんのわずかしかないビジュツテキセンスを総動員して色をぬりぬり…まあ、惑星っぽくなったかな…。

生徒の反応は、予想したよりよかった。「地球は太陽より小さいとは知っていたけど、こんなに小さいの」「水星なんか、宇宙的にみたら“ちり”だねぇ…」「木星ってこんなにでかいの」様々な反応が返ってきた。やっぱり、「イメージをふくらませてあげられるような教材をつくることは意義があるんだなあ」ってあらためて実感した。

 

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さよなら、そしてありがとう冥王星企画① 序章

冥王星が太陽系惑星から除外されるという、今まで常識として考えられていたことが、8月にひっくり返った。いままで、太陽系の惑星は9個。太陽に近い順番に水・金・地・火・木・土・天・海・冥とおぼえましたね。しかし、太陽系の惑星は8個、水・金・地・火・木・土・天・海になった。

99.9%は仮説 思い込みで判断しないための考え方」(竹内薫著)の中にも、この冥王星の話題が掲載されている。この本は、ものすごくおもしろかった。すごく考えさせられ「う~む、なるほど」と何度も何度も首を立てにフリフリ読んでいた。でもまさか、冥王星が太陽系惑星から除外されるなんてこの本を読んでいるときには考えてもいなかった。(6月頃、夢中で読んでいた)

それが、どうでしょう。ほんとに、除外されちゃった。科学の常識がくつがえってしまった。「いや~やられたっ」と思いましたね。この本を読んでいるとき、「なるほど仮説ねぇ。今の考えがすべてではないねぇ。うんうん」なんて共感していたのだけれど、やっぱり心の奥底では、今の科学の常識はいろんなデータの裏付けなんかがあるから、「絶対だ」なんて思っていたんだろうなあ。あの常識がくつがえった朝の新聞を読んだとき、「おもしれ~」って思いましたね。体の中をどっか~んて電気が流れた。びりっなんかじゃない。どっか~んです。という風に感じたわけですから、私自身、思いこみ、常識、固定観念なんかに縛られていたわけですね。これは、もう少しでも頭を柔らかくしなくてはなんて本気で考えたわけです。そして、それを生徒にも伝えたかった。

世の中の科学の常識は、本当は仮説にすぎず、もしかしたら、今日常識として考えられていたことが、明日には常識でなくなることがありうる。こんな話から授業をスタートさせた。こんな歴史的な出来事が起きたなかなので、少なからず、天体に興味を覚えている生徒たち。よ~し、どうせなら今年の天体の学習は、太陽と太陽系からやっちまえと思って、3年生の授業が進んでいる。

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2006年11月17日 (金)

ボーリング調査の実験

Img_3794  紙コップの中には、何がある…?コップの中身には、カラフルな地層が広がっています。印象材で作りました。印象材とは、歯医者さんが歯の型を取るときに使うやつです。固まるとゴムみたいになります。最初は粉で、これに水を入れてかき混ぜると固まります。水に絵の具で色をつけるとカラフルになるわけです。

Img_3788 これに、透明なストローをさして引き抜くと、左の写真のようにサンプルが採れてきます。一直線上の4点でサンプル調査(ボーリング調査)をして、コップの中の地層の広がりを予想するわけです。きれいなカラフルなサンプルがとれると、「わあ~」と歓声が上がりました。楽しく理科を学んで、実際のボーリング調査の方法と地質を知る方法を理解してくれたらやっぱりうれしいもんです。綺麗だね、おもしろいね、本当の調査もこんな風にやってるんだね、そんな声が聞こえてきた今日の授業はやってよかったな、満足感で一杯でした。

 サンプル採取が終わって、地質柱状図を書いて、地層の広がりを予想できたら、いよいよカッターでコップごと切ってみます。自分予想と同じ地層が広がっているのか興味津々の生徒の顔が印象的でした。

Img_3793 きちんと結果が出てきます。

 なるべく実体験をさせたい。実物にふれさせたい。生徒の手でやらせてみたい。きっと、自ら体験することで感動が生まれると思うから、そしてそれが科学的に考える一歩になり、理科への興味が深まると思うから。

 教師としては、また来年もやるであろう実験・授業でも生徒にとっては一生に一回の授業。少しでも心の片隅に今日の授業が残っていてくれればうれしいことです。カラフルなストローを大事にふでばこに入れて持ち帰る生徒もいました。今日のこの実験がいい思い出になっていてくれればいいなあ…。

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2006年11月16日 (木)

みあげてごらん…

 車に、忘れ物をしたことに気がついて外へでた。ふと、夜空を見上げると満天の星。我が家から見える夜空は、天然プラネタリウム。天の川もばっちり見える。なんか、思わぬ安らぎをもらったような気がする。オリオン座がきれいだった。

 最近、思うことがある。それは、人々の季節感が薄れてきているということ。日本人は1年で24の季節を感じる人々である。

立春 雨水 啓蟄 春分 清明 穀雨 立夏 小満 芒種 夏至 小暑 大暑 立秋 処暑 白露 秋分 寒露 霜降 立冬 小雪 大雪 冬至 小寒 大寒

 こんな季節を感じると心が優しくなるような気がする。北国にすむ我々にとって、冬至の日を迎えると「あ~これから、陽が長くなるなあ」となんだかうれしくなる。

 星の話だけれど、古の人々は、星を見て観察して季節を感じていたのかなあと思う。あの星座が今年も見えてきたから、そろそろ種をまこうとか、そろそろ冬支度をしなくてはとか、自然観察が生活の必需品になっていたのかもしれない。

 これから、3年生が天体の学習をしていく。黄道12星座と24節気をからめて、自然観察から得た、季節感を伝えていきたいなあ。

 自然から教えられた季節を大切にしていきたいと考えているし、自然が教えてくれた季節を見事に漢字2字で表現する感性、こんな鋭く優しい感性を磨き続けたいと、ふと思う初冬の夜です。

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2006年11月12日 (日)

プレートテクトニクス・プルームテクトニクス

 中学1年生の地学分野「大地とその変化」に突入。この分野私は大好き。なんでかというと、自分たちが住んでいる地球の不思議さや巧妙なメカニズムは知れば知るほど不思議がわき上がってくるから。

 1時間目、自分たちの住んでいる土地は何でできているの?と聞いて、地質図を見せて自分たちの住んでいる土地について考えてみた。おもったより昔に形成されていて、火山活動がかかわっている場所もあり、そんなことが石ころひとつを調べることからわかってくるということを話すと、興味がわいてくるようです。この時期、私の机の上には生徒が拾ってきた石ころがころがっています。うれしい限りです。

 個人的に興味を引かれているのは、ドイツの気象学者ウェゲナーが唱えた「大陸移動説」。大西洋を挟んでアフリカと南アメリカの海岸線がぴったりと合わせられることに気づき、「これは大昔2つの大陸はくっついてだんじゃないの」と考えたわけ。他の人が考えもしないような突拍子もない「大陸が動く」というびっくり仰天で壮大で、これほどおもしろいことはないと私は思うのだが…教科書からはしばらく見放されていた。これをやらないで何をやるの?プレートテクトニクスの考え方は、なぜ火山や地震が発生するのかの学習につながっていく。だからこそ、大陸移動説をやらなくてはならないと思うので、授業に取り入れています。

 今年は、プルームテクトニクスもすこ~し内容にくわえていこうと思います。もちろん、そのためには自分が勉強して、生徒にも理解できるようにかみ砕いて教材化していこうと思います。目下、ホームぺージを検索しまくり、本を読んでいます。

 ブルーバックス「新しい高校地学の教科書」がおもしろい。もちろん、中学版「新しい科学の教科書」もおもしろですよ。どちらも、すばらしいテキストだと思います。

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2006年11月10日 (金)

分子模型

 水とエタノールの分子模型を増産中。水1リットルとエタノール1リットルを混ぜると何リットルになるでしょう?2リットルになるに決まってる…実は、そうはならない、ちょっとだけ体積が減る。

 この実験を「大きすぎて見えない地球 小さすぎて見えない原子」という仮説社の本で知って、ぞわっとした。最近、仮説実験授業関連の本をいろいろと読んでいる。フライのマテリアルが転がっているタイイングスペースの傍らに、理科関連の本が積み重なって(時間がなくてよめないのが悔しい…)います。

 「おどろきを与えるのが理科教師の仕事である」これが私のモットー。そのおどろきから興味・関心が生まれ、科学的に考えることができるようになり、自分で考えて身に付いた知識は本当の知識として定着していくという考えを持っています。だから、教材は吟味して、系統立てて、試行錯誤して生徒と一緒におどろきを共有できるものでないとならないと思っています。今日は何を教えよう…いつもワクワクしながら授業が行われる理科室まで歩いていきます。生徒に楽しい授業であると感じてもらえるには、授業をやっている教師が楽しまなくてはならいと日々、思っています。

Img_3694_1 さてさて、水1リットルとエタノール1リットルを混ぜると、体積は2リットルにならずちょっと減る。この現象は、原子・分子レベルで考えるとばっちり理由が説明できます。 水もエタノールもたくさんの分子の集まり。すき間なんてないように見えるけど、実はすき間だらけ。そのすき間に、お互いが入り込み、体積が減ってしまうわけです。これを分子模型でなんとか表せないかなあと思い、せっせと発泡スチロール球に色を塗って切って張り合わせて分子模型を作っているわけです。本で読んだときに感じた「ぞわ」を生徒にも味あわせたいと考えています。

 「センス オブ ワンダー」美しいもの、未知なるもの、神秘的なものに目を見はる感性を大切に。 「沈黙の春」で有名なレイチェル・カーソンの言葉。自然が与えてくれるおどろきに素直によろこびを感じられる教師でいたい。

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